低用量ピル・LEPの処方
当院では避妊や生理の不調の治療のために、低用量ピルの処方を推進しています。各種のピルから適切なものを選べ、院内処方で(治療用ピルのLEPは院外処方の場合もあります)すぐにお渡しできます。希望がなければ問診だけで内診は致しませんが、初回または2回目の処方の時は血液検査を行います(その後特に問題がなければ1年ごとの採血となります)。初回はお薬との相性もありますので1か月分とさせていただき、問題なく服用できた場合は3か月分までまとめて処方できます。
ピルは飲み忘れがなければ最も確実な避妊法です
ピルは、1日1回おおよそ決められた時間に1錠ずつ内服します。飲み忘れがなければ各種避妊法の中でもっとも確実な方法のひとつです。現実的には他の避妊法を併用する必要はありません。特にまだ出産を経験したことのない方には第1の選択となります(出産の経験がある方は避妊リングを挿入する方法もあります。ただし挿入時、少し痛みがあります)。
現在当院で処方している避妊用ピルは、ベストセラーの「アンジュ28」(トリキュラーと全く同成分の先発品です)、アンジュのジェネリックの「ラベルフィーユ28」、根強いファンを持つ「マーベロン28」、マーベロンのジェネリックの「ファボワール28」、2列目の内服中に不正出血が起こりやすい方や生理の出血量が特に多い方に向いている「シンフェーズ28」の5種類で、すべて院内処方です。
治療用ピル(LEP;レップ)は月経に関連する悩みも解決します
ピルは、月経前症候群、なかなか鎮痛剤が効かない生理痛の緩和、生理の出血量が多い、生理以外の出血がある、生理の間隔が長いなどの治療にも有効です。最近は中学生の皆さんにも多く処方しており効果をあげています。子宮内膜症や子宮筋腫があったり、鎮痛剤が十分な効果を示さない月経困難症と診断された場合は、健康保険適応になる治療用ピル(LEP=Lowdose Estrogen Progesteroneといいます)があります。LEPのトレンドは超低用量のもので、特に中学生・高校生などの若い方や、普通の低用量ピルで副作用が出た方にはこちらをお勧めしています。「ルナベル」「ジェミーナ」「フリウェル」「ヤーズ」「ヤーズフレックス」「ドロエチ」を処方しています。
* 糖尿病・高血圧・脂質異常症などの内科疾患を合併していたり、タバコをたくさん吸われる方(35歳以上で喫煙される方には原則的には服用してはいけない決まりです)、肥満の方、40歳以上で初めて服用するまたは再開するのは、血栓症の危険が高く私は好ましくないと考えています。また、毎日確実に内服することが苦手な方や、お薬がなくなる前にきちんと来院できない方にはピルは向いていません。
* ピルを長期間服用する場合に、「将来がんになる確率が増加するのでは?」とご心配な方がいらっしゃると思います。最近の大規模な追跡研究の結果、がんの確率は上昇しないとの結果が示されています。また子宮体がん、卵巣がん、白血病・悪性リンパ腫、各種消化器がんは明らかに減少し、トータルとしてはがんになる確率は使用されていない方よりはるかに低くなっています。
* お薬代は、避妊用ピルは4週間分2,400円~2,900円(10%税込)で銘柄により若干の違いがあります。保険適応のLEPは保険点数で定めれた金額です。このほか、LEPの処方には保険で定められた管理料が3か月ごとにかかります。